村上城は標高135mの臥牛山(お城山)を活用した天然の要害で、山頂から山頂麓まで複数の郭が段階的に配されています。 主郭となる本丸の天守台を中心に、二の丸には乾櫓や巽櫓、埋門、出櫓、平櫓などの跡、三の丸には月見櫓、靱櫓、千貫丸などの跡本丸・二の丸周辺には高さ8メートルに達する大型の石垣遺跡が連続し、斜面に沿って巧みに展開されています。山部には居屋敷、一文字門、下渡門などの跡、さらに藤基神社境内には外郭土塁と石垣が現存しています。
お城山東面には、本庄氏時代の竪堀や土塁、井戸時代のような戦国の防御施設が良好な状態で保存されています。 これら中世の土の城郭構造(竪堀・虎口)と近世の石垣が同じ箇所に見られる城跡は全国的にも希少で、学術的価値が高いです。
専門的なみどころ
本丸天守台:往時は三層の天守閣があり、現在は天守台の石垣だけが残っています。
二の丸・三の丸:櫓の跡や石垣による空間の仕切りが、江戸時代の政策的防御設計を伝える。
江戸期石垣:臥牛山の斜面地形を巧みに利用し、積み直し等による保存修復が続けられている。
戦国時代竪堀:切り立った土の縦堀や虎口は、中世山城の典型的な防御構造で、実際に山道を歩くことで地形の厳しさを体感できる。
城下町遺構:外郭土塁、一文字門など山麓にも残る遺構が、城下町の区画や町割りの歴史を現代に伝える。
村上城跡は、中世・近世の城郭技術が融合した実物遺構として、歴史的・構造的に限りなく価値の高い重要文化財です。