文化財指定とあゆみ

文化財指定の経緯(法的地位)

新潟県指定史跡(県指定)

昭和32年2月29日、新潟県教育委員会告示第11号により「村上城跡」を**新潟県文化財(史跡)**に指定。所管者は当時「財団法人村上城跡保存育英会」。

国指定史跡(史跡)

平成5年(1993)6月8日付で、文化財保護法に基づき国の史跡に指定。

指定範囲と未指定地

1993年の初回指定では、山麓の一部(例:田口曲輪・二之町地区の一部など)で同意未了により指定から外れた区画が残存。村上市は将来の追加指定と公有化(用地取得)を目標として再交渉の必要性を明記しています。

保存・整備の歩み(概況年表)

1957(昭和32):県指定史跡(前掲)。

1993(平成5):国史跡に指定。

1999(平成10年):史跡村上城跡整備基本計画を策定。以降、石垣修復を中心とする整備事業を推進。

1999(平成11):山上石垣の修復と発掘調査を開始。

2003–2015(平成15〜27):本丸出櫓台跡の石垣解体・積み直しを実施。

2014(平成26):黒門跡石垣周辺の整備に先行して発掘調査を継続。

2020(令和2):**保存活用計画(案)**公表(計画期間おおむね15年)。活用・多言語解説・体制整備の強化を柱に位置づけ。

2021(令和3):保存活用計画本文に基づき、石垣カルテの更新、モニタリング強化、植生管理・防災計画の策定等を推進。

現在の保存管理の技術的枠組み

石垣のモニタリングと修理

日常巡回・目視・クラックゲージのほか、年3回の3Dレーザー測量で石垣の移動量を把握。必要箇所は最小限の積み直し、当面困難な箇所ははばき石・ふとんかご・ネット等で当面の安定化を図る。石垣カルテの更新と未実施区の追加調査を継続。

植生・景観管理

石垣間の実生木・つる草の定期除去、樹木の計画的伐採、登城道の洗掘対策(短期:端材・砂入れ/中長期:流路操作・自然土舗装検討)等を明示。

防災・安全

自然災害に備えた防災計画策定と危機管理体制整備、非常時の応急措置は許可不要(現状変更許可の特例)とする運用を規定。

追加指定・公有化の方針

対象と課題:初回指定から約30年を経て、田口地区・二之町地区・三之町地区のうち未指定の民有地に、曲輪地形や石垣列等の遺構が確認されている。今後の追加指定候補地として位置づけ、所有者への周知・協力を得ながら公有化を視野に検討を進める方針。